1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
次の日。
仕事を休もうとして事務所に来た。
「久御山さんですよね?」
いきなり、知らない奴に呼び出された。
仕方ないから着いていくと、押し倒された。
やべぇ…。この頃ヤってないから…疼く。
食っちまうか…。
「あたしぃ~久御山君のこと狙ってたんだぁ~。彼女いないんでしょぉ~。あたしと付き合わない?」
「あ~。ん~」
手はさりげなく腰に。目を見ながらニヤニヤ笑ってやる。
調子にのって、キスをねだって来たからしてやった。
「じゃあ~付き合ってくれるの?」
「あぁ…」
「じゃあ~今日から~」
やたら間延びしたかったるい喋り方の女だな。
「久御山!」
社長の声で我に返る。
「これに書いて、今日は有休でいいから~左海によろしくな」
茜!
そうだ。昨日…決めたのに。
「悪い。俺、好きな奴がいるから」
断ると俺は事務所に戻り、書類を仕上げて飛び出した。
気付かなかった。
フった女が俺が書類をやっている間に茜の病院に行ってあんなことをしていたなんて。
病院に着くと大騒ぎだった。
人垣を掻き分けて中に入る。
すると………。
「茜!」
茜が目の前を運ばれていた。
頭から出血。手首がだらんとしていて真っ白。
「茜!」
駆け寄ると看護師が口を開いた。
「近寄らないでください。彼氏さん、貴方…何をしたんですか!」
「え…」
俺は…なにもしていない。
緊急治療室に運ばれるのを見ながら俺は唖然とした。
「さっき、貴方の本命の彼女だと言う方が左海さんの見舞いにいらっしゃったんですよ」
「本命の…彼女?」
「えぇ。茶髪の…バンギャ」
「………」
さっきフった奴だ。
「その人が入って来るなり、鞄を左海さんに投げ付けて言うんですよ。「あんたね、調子に乗るんじゃないわよ。亮佑はあたしの彼氏なんだから。優しさに付け込んで幸せそうに笑ってるんじゃないわよ」って鞄で殴り付けたんですよ」
「は?」
「私がナースコールを押して大きな声で言ったら逃げるように帰りましたけどね」
あいつ……。自分の思い通りにいかないとそんなことしやがるのか…。
その同室者に例をして。
俺は病院を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!