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「たしか、俺の好きな本に…黒い犬を飼ってた男がいたなぁ…。」
「まさかその犬の名前とかは言わないよね?」
一応狼なんだけど、僕。
「ありゃ、駄目か…確か犬の名前は…アークだっけ。煙草の銘柄。でも、アークって顔じゃないよなぁ。」
「誉めてんの?けなしてんの?」
「微妙なとこだな。」
後ろで伸びすぎた僕の髪を切る音が響く。
シャキシャキ
「うーん…じゃあ手軽にクロ、とか?綺麗な黒髪だし。」
「…まぁ、変な名前よりはマシだけど。」
「よし、クロ決定ー!!」
「決め方が単純すぎやしなーい?」
「いいのいいの♪ヨロシクね、クロ。」
そう言って、
髪をさらりと撫でられた。
また、
笑って
この男…イアはキレイに笑う。
笑い方なんて、
ひとつも知らないけど…
なんとなく
その眩しすぎる笑い方に、
光が見えた気がしたんだ。
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