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なんで…?
「なんで戻ってきてんの?」
さっき帰った筈の人間が立っていた。
「これを渡しに、かな。」
ポイ
ハシッ
「何これ?」
「あれ?知らない?携帯食料だよ。」
カツ、カツ、
「よ、寄るな!?」
ビッ
爪を尖らせて威嚇するも、人間は帰ることも後ずさこともせず…近づいてきた。
「俺はここで死のうとも、生きてる価値のない人間だから後悔はない。」
こっちがたじろぐほど真剣な瞳に呑まれそうだ。
気づけば、既にあと一歩という程に近くなっていた。
「貸して、」
はい、と手を出してさっき投げて寄越した物を受け取ろうとしていた。
「…ハイ…。」
爪を元の長さに戻し、物を返した。
パキン
蓋をあけ、こちらに返した。
「…?」
不思議な臭いだった。
「食べれない?えっと、スプーン、スプーン…」
腰に付けた小さなバックから何かを探している。
「あ、あった!」
銀色で円に近い変な形の物を取り出した。
「ほら、アーン。」
その銀色ので変な臭いのしたものを一つ取り出し、僕の口に近づけた。
「あ、あーん?」
ヒョイ
「口閉じて、スプーンの上にあるのだけ掬いとるんだよ。あ、歯たてないでね?」
「あむ、んーっ」
「はい、よく噛んで。」
もぐもぐ
「美味しい…。」
「ほら、もっかい!アーン」
「あーん。んっ」
少しして、完食した。
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