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「今日は冷えるし、ここで休ませて欲しいんだ。駄目かな?」
「…。」
「駄目?」
「いいよ…。ただし近寄らない事…。」
「んー…何もしないのになぁ…。警戒は解いてくれないの?」
「だって、人間は自分勝手だし…」
「怖い気持ちは判るよ。今この風景を見れば誰でも。」
周りには血の海
手足には鎖
壊れているだろうけど機械も多少置いてある。
ここで人体実験なんかをされた事は一目瞭然だった。
「大丈夫だよ。何もしない」
すっ
ビクッ
男は子供の頭に触れた。
当然子供はビクつく。
さすさす
「こんな暗い所に一人でずっと怖かったろ?俺が外に連れ出してあげようか?」
「外…?」
「そう。鎖も外して、俺と自由に旅しない?」
ずっと外を見てみたかった。
物心が付いた時からここにいた。
外が見てみたい…。
「自由に、あ、歩き回りたい…!」
「うん」
「いっぱい色んなモノを見て、触れたい…!」
「うん」
「外…に、ヒック…」
目からは、大粒の水滴が溢れ出た。
「ね、一緒に旅に出よう?」
「うん…。」
チャッ
「動かないでね。」
男は懐から銃を取り出した。
「!!?」
「動かないで、ってば」
ぎゅっと目をつぶった。
ダァンダァンダァンダァン
「ハイ、おしまい。」
目を開けると、手足の鎖は切れていた。
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