先客…

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3階… 尚子は明弘に声をかける… 尚子「やっぱり下に行こうよ…」 誰か来た… 誰か居る… 人の温かさを… 感じたかった… 明弘からは… すでに… 感じる事が… 困難になっていた… いけない…いますぐ… 下にいかなきゃ… 握っていた手の… 握力は… いつの間にか… 尚子が一方的に… 握っていただけで… 放すとすぐに自由が訪れる… 命が… 惜しかった… 尚子「ねぇ!あき君!下行こう!」 明弘「…」 尚子「あき君!」 明弘「…」 手を離してみた… 明弘は尚子を振り返りもしない… 尚子「あき君…あたし下に戻るね!誰か呼んで来るから…上…行かないでね…」 後ろから明弘に抱き着き、そう言って、後ずさりするように… 明弘から離れた… 3階へは、どうやって来たのだろう…? 明弘の後ろにしがみつきながら、此処まで上がって来た… 尚子(とにかく、2階に下りれば… マンションの2階は、ロビーが見渡せる… このホテルは吹き抜けの造りになってた? そうすれば、声をかけられる…) 通路は瓦礫だらけで、尚子のヒールでは、歩きずらい… 何度も躓きながら、ようやく階段が目に入った… 一歩… 一歩… 確実に… 足元を確認しながら… 2階へ向かった… たった… 一人で…
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