その後

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その後

戻れた、俺は俺に戻れたんだ。 不思議な感覚だ、奴の記憶はあるが、やはり俺は俺のままだ。 美沙は? 「おはよう。寝ぼ助さん。」 「美沙、俺達は人間に戻れたんだ。」 あれ? 魂が見える。 後遺症とでもいったものか? 「美沙、君の魂はなんて綺麗なんだ。」 「あら、あなたの魂は凄く汚れた、素敵な色をしているわよ。」 彼女はからかうように言った。 「これで、俺達一緒になれるんだな!」 「あら? なぜ?」 「なぜって、俺達は苦楽を共にし、俺は君を愛している。」 「せっかく自由になったのに、あなたと一緒になるつもりはないわ。」 なに!? なにを言ってるんだ!? 「さようなら、また会うことがあったら。 今までありがとう。」 なんだと!! そんなことは許さない!! 「まて!!」 「そんなものをもってどうするつもり?」 気が付くと俺はナイフを握っていた。 「お前は、俺と一緒になるんだ。 どこにも行かせない!」 「私は自由なの、あなたの人形になるつもりはないわ。」 許さない! 美沙は俺のものだ! 俺のものだ!!! 気が付くと、俺は美沙を刺していた。 彼女の魂は天へと登って行った… そのナイフで俺は俺を刺した… 俺の魂は下へ下へと向かった…
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