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「……お前、本気で言ってるのか?」
健太が少女に詰め寄ると、少女は頷いた後どっかりと椅子に座り直す。
「詳しい話を聞かせてくれ」
健太が少女にそう頼むと、少女は小さく咳払いをした後に語り始めた。
「長いわよ? よーく聞きなさいね」
「おう」
「事の次第は今から500年前。神の御使いであるアルカナスのひとり、第15アルカナの『悪魔』バルドーが、神様の所有物である世界を創るアルカナ、第21アルカナの『世界』を使ってこのゲームを作ったの。目的は暇潰し。ここまでいいかしら?」
脳味噌の内部を疑問符マークの群れに支配されつつも、とりあえず健太は頷いておく。
「で、それから以降100年に一度行われるようになり、今回が6回目。ゲームの勝者は一度だけ『世界』を使うことが許されて、何でも願い事を叶えることができる。バルドーはこの地上界で人間を巻き込んだ殺し合いということでゲームを始めたけど……後から神様が介入して、危険のないようにルールを再設定したの。こんなもんでいいかな?」
「う~ん……正直に言うと……よくは分からん。で、それが俺と何の関係が?」
少女は身を乗り出し、手に持っていた1冊の本を健太に差し出す。
健太はそれを受け取ると、何気なくパラパラとページをめくってみる。
すると、ページの隙間から1枚のカードがはらりと床に落ちた。
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