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健太は床に落ちたものを拾い上げ、まじまじと眺める。
「なんだこれ? カード?」
「第0アルカナ『愚者』。それが、あんたのアルカナよ。よく見てみて」
カードには『The Fool』と書かれており、中には崖に向かって歩くみすぼらしい格好をした男と、1匹の犬が描かれていた。
「……あ! この犬、どこかで見たぞ? 確か、夢の中で」
「どうやらもう、あんたは愚者の声を聞いていたようね。アルカナスにはオッドとイーブンという二種類がいるの。オッドはあたしのように確たる自我と身体をもっているんだけど、イーブンは意識だけの集合体。身体を持っていないの」
「……もしかして、この『愚者』ってやつも自分の身体がないから、そのゲームに参加するために俺に力を借りようとしてるのか?」
「へえ、察しがいいじゃない。その通りよ」
すっと少女は立ち上がり、健太に片手を差し出す。
「そう言うことだから改めて聞くわ。あんた、あたしと手を組まない? もしゲームに勝てたら何でも願い事が叶うのよ?しかも負けたところでノーリスク。こんないい話はないでしょう?」
「…………」
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