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(あんた、あたしと手を組まない?)
(それが、あんたのアルカナよ)
(お前の掛け替えのないものを失ってからでは、もう遅い……)
「うわぁっ!」
布団をはぎとり、健太はすぐに部屋の照明をつける。
「はあっ! ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
時刻は深夜の2時をまわっていた。
2階にある自室から階段を足早に降りてリビングに入り、健太は冷蔵庫の中にあったスポーツ飲料をがぶがぶと飲み始める。
「ごくっ、ごくっ……っぷは! ……やっぱり、夢でも幻でもねえよ、昨日の出来事は嘘じゃない。……俺の掛け替えのないものを失う? 一体何のことだ……」
少し自分を落ち着かせた健太は、日向子が起きないようにゆっくりと階段を上がる。
自室に戻ろうとしたが、なんとなく父の書斎に入り、お気に入りのソファに深く腰掛ける。
「つう……あいつが言っていたことが本当だとしたら、何で俺なんだ? ……ん?」
ふと視線を落とすと、そこには『愚者』と呼ばれたカードが落ちていた。
「……明日、いや、もう今日か。もう一度、あいつに会ってみようか……ふあ~ぁ……」
大きな欠伸をすると目を閉じ、布団に入って横になる。
5分もしないうちに意識が遠退いていき、やがて健太は深い眠りについた。
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