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不愉快そうに腕を組み、眼鏡越しから睨んでくる栗原に、健太は呟くように聞いた。
「失礼ついでと言っちゃ何だけど、今何してたんだ?」
健太の言葉に動揺したのか、口元が引き攣る。
「きっ、君には関係のないことだ! ほら、僕のことはいいから、早く学校に行くんだ」
眼鏡を中指でくいっと上げ、栗原は命令するような口調で健太に言う。
「はいはい、分っかりましたー」
「はいは1回でいい! ……君、ちょっと待て」
その場を離れようとした健太を、栗原が呼び止める。
「……まだ何か?」
「君の持っているそれ、何だね?」
「これか?」
健太は手に持っていたカードを栗原に見せる。
「……!」
「お前、このカードのこと、何か知ってんのか?」
「……いや、こんなものは知らんな。それよりこんなものを学校に持って行ってどうする気だ? 授業に不必要なものを学校に持っていこうものなら、この場で僕が没収させてもらうが?」
「あー! 早くしないと遅刻しちまう! 悪いけど俺、もう行くわ!」
逃げるように健太はその場を飛び出し、学校へと走って行った。
「……今のは『愚者』のカード。間違い無い、どうやらあいつも参加者のようだな……」
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