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「いいのか、学級委員長様がこんなところで油売ってて」
「まだ予鈴まで時間はあるし、たまには俺もちょっと遅れて教室に入ってみたっていいだろう?」
「まぁ、それもそうだな。一番最初に教室にいるやつが毎日同じ顔だと気持ち悪いし。んで? 新入生の顔でも見にきたのか?」
「そんなところだ。今年も可愛い後輩ができるといいんだけどな」
生真面目そうな昇と不真面目そうな健太。
あまり共通点があるようには見えないふたりだが、実は意外な所で気が合うことが多い。
ふたりは小学生からの付き合いで、かれこれもう11年も一緒にいる。
腐れ縁だと昇は言うが、気付けば健太と連んで行動している、周りから見れば立派な凸凹コンビだ。
「しっかし今年も、不思議と頭のよさそうなヤツばっかり来てるなぁ」
「今さら何言ってるんだお前。御桜高は新設されたばかりの学校だし、県内でも偏差値の高い高校じゃないか。て言うか、お前がこの学校に受かってることの方がよっぽど不思議だぞ?」
「おいおい昇くん、きみは俺の伝説を知らないのかい? 生ける伝説の、レジェンドオブライフのこの俺を!」
フェンスをよじ登り、特撮ヒーローのような決めポーズをとりながら、健太は高らかに言い放った。
「わかった。わかったからとりあえず降りろ。新入生たちが見ているぞ。それから、おかしな英語を使うんじゃない」
3メートルはあるフェンスの上から健太は軽々と飛び降り、訝しげにこちらを見る新入生に手を振ってから昇に向き直る。
「俺ってさー、実は神なんじゃねって時々思うんよ」
「……はぁ?」
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