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御桜高校の始業は8時35分。
それまでに自教室の自分の座席に着席していなければ遅刻扱いとされ、居残りと素敵な課題が担任からプレゼントされるシステムになっている。
「はっ、ふっ、ぬっ、くおぉっ!」
時既に8時33分。
階段を2段飛ばしという荒業で駆け上がる高槻昇は、真面目で頼れるクラス委員長というよりも、まるで高校最後の夏こそ甲子園の土を踏むと奮起する熱血野球男児のようだった。
(あと1分20秒。今の俺なら……行ける!)
「くそ~、昇が実は超人だったなんて、どうして気付かなかったんだろう俺!」
1段飛ばしで登るのが精一杯の健太も、必死に昇の後を追う。
「てか、たかが賞状の為にあそこまでムキにならなくったていいのにな。っはぁ、誰かにぶつかりでもしたら大変……」
「きゃっ!」
「うおわああああっ!?」
そう思ったのもつかの間。
階段の上の方から、女子の悲鳴と鈍い金属音が聞こえてきた。
(あいつ……)
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