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「私達の話、邪魔しちゃいけないと思って声出さなかったみたい」
確かに、いつもなら大声で王女のことを呼ぶはずだ。
「あいつなりに考えてるんですね」
「ね。可愛いわよね」
王女はそう言って、カイルの方へ走っていった。
出会ったばかりの王女なら絶対廊下を走ったりしなかった。
少し頬を染めて微笑むなんてことしなかった。
「……可愛いのはどっちだか」
俺はそう呟いて、走って後を追いかけた。
「今日のおやつはモンブランですよー」
そう言って笑ってるカイルの声が聞こえた。
王女があいつに惹かれたのがわかるような、安心する笑顔。
俺も、マナが安心できるような男にならないとな、と思った。
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