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息が切れて、足は重くなり、指先がひどく痛む。 それでもニアは走った。 少年に何かを伝えるために。 まもなく木漏れ日の場所の入口が見えてきた。 陽がさしているのが見えた。 今までより一層強く暖い光で。 「――マナ!」 目的地に辿り着き足を止めたニアは少年の名を呼び、周りを見渡した。 しかし、自分の声だけが空気をつんざいて虚しく響くばかり。 そこにも少年の姿は、無かった。 (――マナ、いったい何処に…――) 遥か上から光だけが零れている。 その一筋のタイトロープがニアの足下に伸びた時、ニアの目に止まるものがあった。
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