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花が一輪咲いていた。 血の様に赤い花だった。 地上の光を受けて、それはキラキラと輝いている。 地上に届けと伸びる様に。 光に向かってまっすぐに。 ニアは思った。 きっとマナは地上に向かったに違いない。 マナの求める場所はいつだって地上だったではないか。 途中で命が尽きるかもしれない。 それでもせめて前進し、少しでも地上の側で倒れる事を望んだに違いない。 ニアは長い間、花を見つめていた。 そして、決意したのだ。 地上に行こう、と。 何を得るというのだろう。 この手には何も残らないかも知れない。 それでも、進んでみよう。 あたしは見てみたい。 今でも地上に美しい花が咲くのなら――。 第一部完
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