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「悪い。悪い」
そう言いながら、蘇芳は僕の頭を、ポンポンと叩いてきた。
……子供扱い……。
……ムカチーン。
パシッ。
僕は、その手を払いのけ、歩き始めた。
「あ、オイ! 真白ぉ」
慌てて、蘇芳は、僕を追いかけてくる。
……今は、こうして追いかけてくれるけど……もし、僕の力を知ったら……。
僕は、そんな気持ちを振り払うように、頭をフルフルと振った。
「真白? 具合でも悪いんか?」
蘇芳が、顔を覗き込んでくる。
……大丈夫。
自分から言わなければ、バレる事はないのだ。
僕は、精一杯の笑顔を作って、蘇芳を見た。
「別に? ただ、誰かさんのおかげで、背中が痛いだけ」
「真白!?」
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