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立ち止まった蘇芳の声が、背中に当たる。
「真白ぉ……。何でそんなに、黒いんだ……! お兄ちゃんは、そんな風に、育てた覚えは無いぞ! 真白は白いからこそ、"真っ白"なんだ!」
ドキッ。
蘇芳の言葉に、僕の心臓が大きく跳ねる。
僕は冷静なフリをして、立ち止まり、振り返った。
「……誰が"真っ白"だ」
突っ込むとこそこーーー!?
とか、四方から聞こえてきたけど、僕は気が付かなかった事にする。
いつの間にか、僕達の周りには、登校する生徒でいっぱいだった。
どうやら、蘇芳との会話を、聞かれていたらしい。
僕は、まだ激しく脈打つ心臓も、沢山の視線も嫌で、急ぎ足で学校に向かった。
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