-出会いは突然に-

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「ぐすっ……ぐすっ……」 あれから10分たったが、さっきからずっとこの状態だ。俺はというとロケットスタートの〝よーい〟の体勢で止まったままだ。 いい加減腕がプルプルしてきた。このままスタートを切れたら最高なのだが、金縛りにでもあっているかのように体が全く動かない。 「…………ぐすっ」 ん、ちょっと泣き止んだか? 「う、うわあああああん」 嵐の前の静けさかよっ! てか、声大きすぎっ! ここで泣かれるのは近所迷惑他ならない。しかも、泣かしているのは俺となり、非難の目で見られることは必然的だ。 ダンっ! コンクリートを強く蹴り、スタートダッシュを切った。向かう場所は1つしかない。 「た、頼むから泣き止んでくれっ! 成仏するためならなんでもするからっ」 スタートダッシュの勢いを使い、反転しながらのジャンプ土下座という上級技術を駆使し、段ボールお化けに泣き止むよう懇願する。 は、果たして結果は……?
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