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「それでは皆さん、また明日会いましょう」
あー、長かった。本当に長かった。思わず2回も同じこと言っちゃった。全くうちの担任ときたら、やたらと話が長い。
他のクラスのやつらなんてとっくに家に帰ってるというのに。新学期早々最悪な気分だ。
「はぁ……」
石のように重たい体を椅子から持ち上げ、自称俺の親友の元へと向かった。
「真緒早く帰ろうぜ……」
「おいおい、凛。そんなに急かすなってっ。いくら俺のことがす──」
〝カチャリ〟
「俺は今気分が悪いんだ。それ以上言ったらお前の喉の風通しが良くなるぜ!?」
「すひぃふぁふぇん」
ほんとに玉にキズだ。いっつも一言余分なんだよな、真緒は。それさえなければ完璧なのに。
顔はいわゆるイケメンだし、運動も結構出来る。だけど、ちょっと変態なんだよな。
俺は真緒の口一杯に押し込んだ水鉄砲を抜き取り、重い足取りで下駄箱へと向かった。
「ちょっ、置いてきぼりにしないで!? 放置プレイは学校じゃあマズいって!」
出たっ、変態癖。どんだけドMなんだよお前。ほんと、その癖さえ直せばモテるのにな。
おっと、そんなことよりトムとジェリーが始まる前に家に帰えらねば。
「じゃあまた明日っ」
急ぎの用事を思いだし、石のようだった脚が軽やかに動き、颯爽と俺は校門をくぐった。
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