3857人が本棚に入れています
本棚に追加
曲がり角を曲がり、家までの一直線コース。いつも通りの見慣れた風景。
「おいおいおいおい」
だが、今日は明らかにおかしな風景が俺の目の前に広がっている。小学生に聞いてもこれはわかるだろう。
道のど真ん中に、少し大きめの段ボールがポツンと置いてあった。
トラックが落としていったのだろうか? はたまた、誰かがイタズラで置いたのだろうか? だとしたら、気づいた近所の人が片付けるだろう。
だが、それはそこにある。ということは──……。
「ちょっと待てよ、おい」
俺はこういうのが……怖いわけじゃないんだよ!?
ただ、ちょっと苦手って言うか、人より不得意なだけであって、断じて怖いわけではないからねっ!
「怖くない怖くない怖くない。お化けなんていない、お化けなんて嘘さ」
寝惚けた人が見間違えたんだしっ! 自分にそう言い聞かせ、段ボールの横をゆっくりと音を立てずに通り過ぎようとした瞬間、
〝ガタガタガタガタガタ〟
段ボールが急に音を立てて動きだした。
「うわあああああああ!!」
近所に俺の声が響き渡るが、誰も出てこない。普通は出てくるだろっ! お前ら冷たっ! 冷徹人間っ!
今すぐ一目散にでも走って逃げたいのだが、驚いた時に段ボールの横に鞄を落としてしまい、逃げたくても逃げれない。
さあ、どうする俺っ? あの鞄の中には、英世さんも入っているんだぞ?
最初のコメントを投稿しよう!