-出会いは突然に-

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「ん……? あんなとこに貼り紙ついてたっけ?」 睨み合うこと数十分、俺は段ボールの側面についている貼り紙に気がついた。 気付くの遅っ! ってのは気にしないでいただきたい。だって、チラチラってしか見れなかったんだって! とりあえず、安全圏内ギリギリまで行って読んでみるか。中身が何かわかればこっちのもんだぜっ。 「抜き足、摺り足、千鳥足……ぶへっっ!」 お、俺の馬鹿野郎っ! 千鳥足じゃどう考えてもコケるだろっ。 自分に悪態をつきながら、起き上がろうとして目の前を見ると、段ボールに貼り紙が……。 「おー、見やすい見やすい。1字1句完璧に見える」 人間って自分の体が危険になると、五感が麻痺するって本当だね。恐怖とかなんにも感じなくなった気がする。 あんなに怖かった段ボールが何にも怖くない。むしろ、友達以上恋人未満くらいの関係になっちゃったね。 さて、読み始めるか。 「えっーと、絶対に開けないでください……」 みじかっ! ちょっ、1・2・3・4……12文字しかないじゃんっ。思わず数えちまったよ。 「ふふふ、少年時代のイタズラ心を思い出させてくれるぜ」 この文を読んで俺の心は、さっきとは全然反対の方向に動きだした。
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