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「い、命取ったりしなよな? た、食べたりしなよな?」
恐る恐る尋ねてみる。中に何かがいるというはわかった。
しかし、危険性がないということはまだわからない。もしかしたら人語を話せる凶暴な生物かもしれないしな。
「だ……大丈夫……だから……は、早く……」
うん、危険性なしだな。
てか、さっきよりも声が弱々しくなってる気がする。まさかの呼吸困難で窒息死!?
「い、今すぐ助けるから待ってろよ」
怖さ? そんなもんどっかに飛んでった。
困ってる人がいたら助ける。人間として当たり前だ。怖いとかなんとか言ってられない。
たとえそれが何者かわからなくてもだ。綺麗事に聞こえるかもしれないが、俺は小さい頃からそう躾られてきた。
〝凛、困っている人がいたら他人でも必ず助けてあげなさい。たとえそれが動物でも、花や草木でも。生き物は皆支えあって生きていくものだからな〟
今がその時だな。ちょっと普通じゃない特別なケースだけど。
俺は段ボールを留めているガムテープに、少々震え気味の手を伸ばす。
ガムテープが少し、また少しと剥がれていく。
「今開けるからなっ」
ゴクリと唾を飲み、段ボールの蓋に手をかける。ゆっくりと開けていくとそこにいたのは──……。
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