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高島グループ。
日本が誇る屈指の企業である。
経営している会社は数知れず。
またそれを知らない者はいないと断言してもいいくらいである。
そんな高島グループ当主、高島泰三の自宅は東京の高級住宅街に位置している。
周りが洋風の大きな屋敷とは打って変わっての和風の屋敷が門を構える。
大きな庭には池、橋、盆栽、桜の木々など見事なまでの日本庭園を表現していた。
そんな庭で、舞い落ちてくる桜の花びらを箒で掃く人影があった。
上機嫌に鼻歌を歌いながら、せっせと地面に落ちる花びらを集める。
ふっと手を止め目を空へと向ける。
そこには、燦々ときらめく太陽があった。
強い日差しに眩しくてつい手をかざしてしまう。
しかし、春特有の暖かさに心は弾んでしまう。
「もう春なんだなぁ。」
太陽を見上げ、一人でぽつりと呟きながら清水早苗はにこやかな笑みを浮かべた。
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