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誕生日の朝だった。
男はリビングへ降りると、目を疑った。
ソファーに見知らぬ女性が座っている。
『だれだあんた!?』
返事はなかった。
と言うより、ピクリとも動かない。
(人形か?)
ふと、目の前のテーブルに目をやると一枚のカードが置いてある。
それには、こう書いてあった。
HappyBirthday
素敵な一年になりますように
PS.電源は首の後ろにあります
(電源?)
不思議に思って、その人形の首を見ると、確かにある。電源らしきものが…
男は、取り敢えずスイッチをONにしてみる。
『おはようございます。』
そいつは静かに動き出した。
それにしても、良く出来たロボットだ。
首にスイッチがあることを除けば、普通の人間と見間違う。
皮膚の感触から声まで、実に精巧に出来ていた。
聞けば、自分は【家政婦ロボット】だと言う。
だが、どこから来たのかは教えてくれなかった。
いや、電源が入ってなかったのだから、本人も知らないのだろう。
元々、独り身だった男と、家政婦ロボットの奇妙な生活は、こうして始まった。
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