マヌケな泥棒

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深夜。 ある古びれたビルに泥棒が侵入した。   『ハハハッ このビルの警備はなんて手薄なんだ。 さっさと頂いて帰ろう。』   泥棒は、地下にある、自分と同じ程の、大きな金庫の前でニヤニヤしている。   しかし、金庫はなかなか開かなかった。   『ちくしょう! ボロビルのくせに、金庫だけはしっかりしてやがる!』   様々な工具を使ってみるが、びくともしない。 しまいには、殴ったり蹴ったりしたが、結果は同じだった。 泥棒は途方に暮れた。 暫く考えてもみたが、何も良い手が思い付かない。   『しょうがない…諦めるか……』   そう言って、泥棒は金庫に手をついて寄りかかった。   ギィィ…   金庫の扉が動く。   『なんだ… この金庫の扉は押して開けるのか?』   泥棒は、今までジタバタしていた自分を恥ずかしく思った。   『まぁいい…これで大儲けだ。 この大きさ、さぞ大金が入っている事だろう』   大金を想像し、心踊らせて、中身を確認しようとしたその時だった。   カツカツカツ…   誰かがこっちへ近づいてくる。   男はとっさに隠れようとするが、金庫以外は何も無い部屋だ。   『しょうがない この中に隠れるか…』   そう言って、金庫の中に入り、思いっきり扉を閉めた。
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