天狗のお面

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天狗のお面

私の勤務していた葬儀屋の社長は、オカルト好きでした。 鬼の手のミイラ、カッパのミイラなどを見る為に日本全国を旅行して回っていました。 そして各地のお土産屋や骨董品屋で、得体の知れない物を買ってきては会社の至るところに飾っていました。 そして、いつのまにか当直室に不気味な天狗のお面が飾ってありました。 そのお面は年代物で私が見ても、とても1万や2万では買えそうにありませんでした… 社長にいくらしたか尋ねると… 『安かったよ…』 『10万円…。』 あっさり言うなよ… 安かねぇ~よ… そんなに儲かってるなら社員に還元しろよ… そんな高価なお面ですが、社員からは不評で、しばらくすると、うめき声がするだの、気味悪いなど言われはじめました… しかし、ゲジだけは別で その天狗のお面の鼻にスーツの上着やコートなどを掛けていました… 私はゲジに… 『お前 そんなとこに服なんか掛けてると 呪いがかかるぞ…』等とおどかしていました… そして 私とゲジが当番で当直室で寝ていると… バサッ… 天狗の飾ってある隣の部屋から物音が… 不気味に感じた私達は… 恐る恐る襖を開けてみてみると… ゲジのコートが畳の上に落ちていました… しかも、コートと一緒に10万円の天狗の鼻も、根元から折れて落ちていました… ゲジは… 『ヤバい、ヤバい、ど~しよう~』 ゲジ… ヤバいって… 俺に言われても 俺は知らないよ… さすがの天狗も、お前のコートにゃ 勝てなかったんだよ… だけど10万円の天狗だぞ…
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