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エバラ
私が担当した葬儀で、サブを新人の亀井(ゲジ)に任せたときの話です…
私は葬儀の司会進行の打ち合わせがあるため、お通夜のセッティングをゲジに任せました…
打ち合わせが終わり、お通夜が始まり、司会をしていると棺の上に何やら一本のビンが…
住職入場の際に祭壇の近くに行き、棺の上のビンを確認してみると…
なんと『エバラの焼肉のタレ』でした…
その瞬間、以前ゲジに話したことを思いだしました…
私はゲジに…
『特別に火葬の時の裏技教えてあげるよ、火葬する前に遺体にエバラの焼肉のタレをかけると、綺麗な骨になるんだよ。いろいろ試してみたけど、やっぱりエバラが一番だったよ。俺が見つけた裏技だから秘密だよ…』
ゲジ…
まさか本気にするとは…
しかし住職はお経を詠み始め回収はできません…
しかたなくお通夜を続け、無事終了…
案の定、喪主から…
『これなんだい?』
エバラを指差して…
私は…
これをかけて火葬すると綺麗に焼けるんですよ…
なんて事は口が裂けても言えるはずがなく…
『親族で用意されたんじゃないですか?故人は生前、焼肉が好きだったんですか?』
と、苦笑い…
幸い本当に故人は焼肉が好きだったらしく、告別式も棺の上にエバラはありました…
結局 納骨まで、そのエバラは遺骨と一緒に祭壇に供えられていました…
葬家さん…
あのときは嘘ついて、すみませんでした…
私がゲジに恐怖を感じた出来事でした…
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