エバラ

1/1
前へ
/115ページ
次へ

エバラ

私が担当した葬儀で、サブを新人の亀井(ゲジ)に任せたときの話です… 私は葬儀の司会進行の打ち合わせがあるため、お通夜のセッティングをゲジに任せました… 打ち合わせが終わり、お通夜が始まり、司会をしていると棺の上に何やら一本のビンが… 住職入場の際に祭壇の近くに行き、棺の上のビンを確認してみると… なんと『エバラの焼肉のタレ』でした… その瞬間、以前ゲジに話したことを思いだしました… 私はゲジに… 『特別に火葬の時の裏技教えてあげるよ、火葬する前に遺体にエバラの焼肉のタレをかけると、綺麗な骨になるんだよ。いろいろ試してみたけど、やっぱりエバラが一番だったよ。俺が見つけた裏技だから秘密だよ…』 ゲジ… まさか本気にするとは… しかし住職はお経を詠み始め回収はできません… しかたなくお通夜を続け、無事終了… 案の定、喪主から… 『これなんだい?』 エバラを指差して… 私は… これをかけて火葬すると綺麗に焼けるんですよ… なんて事は口が裂けても言えるはずがなく… 『親族で用意されたんじゃないですか?故人は生前、焼肉が好きだったんですか?』 と、苦笑い… 幸い本当に故人は焼肉が好きだったらしく、告別式も棺の上にエバラはありました… 結局 納骨まで、そのエバラは遺骨と一緒に祭壇に供えられていました… 葬家さん… あのときは嘘ついて、すみませんでした… 私がゲジに恐怖を感じた出来事でした…
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13920人が本棚に入れています
本棚に追加