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「それに……私はもうすぐ逝きます。朝鳴をつれて」
「待て、それはどういう意味だ」
「そのままの意味ですよ」
やんわりと笑うその顔に、この世への未練は映っていない。
「だから、貴女と契りを交わすなど、そのような無責任なことはできないのです。私とて……貴女をおいて行きたくない。でも、絶対に連れてなんて、考えたくもないのです」
彼の優しさに、姫は何もいえなかった。
「たった一つ。私に未練があるとするなら、年老いた貴女を見てみたかった……貴女の隣で」
「何を言うんだ。今すぐにでも私はお前と」
「それ以上、言ってはいけません。いえ、言わないでください。私のために」
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