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「……あれからどれだけの時代が流れたのだろうね」
渡月橋の真ん中で、行きかう自動車と観光客に視線を向けながら姫は小さくつぶやいた。
「江戸ががなくなり、世界を揺るがす戦争が2度おき、天皇は象徴になりました」
黒髪の少女が姫のつぶやきにそう返す。
「簡単に言うね」
「何年何ヶ月とはっきり申したほうがよいのか?」
「相変わらず可愛げのない……それだからお前は可愛くないのだというのだよ」
姫の腰ほどしかない背丈の少女の頭をクシュっと撫でると、姫は口角を上げた。
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