3人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、私は現世の唯を探しに行くよ」
それだけ言い残すと黒髪の少女を置いて早足に歩き始めた。
「姫様! あのような者など探すに足りませぬ」
「そういうな。あれとの約束は絶対なのだから」
黒髪の少女は姫を追うように小走りで追いかけるが、姫は速度を緩めることなく進んでいく。
「あんなもの約束などではありません。呪です。守る価値など」
少女の言葉に姫は歩みを止めた。
今にも泣きそうな顔を少女に向ける。
「そういうな、あれもまさか本当になるなど思っていなかっただろう。私とて信じられぬのだから」
最初のコメントを投稿しよう!