Camellia

「姫さま、また稽古をさぼられる気ですか!?」

つんざくような声が辺りに響いた。
それと同時に襖を勢いよく開けた少女が室内に入って来た。

「相変わらず騒がしいな、夜鳴」

鬱陶しそうな声が、夜鳴（よなき）と呼ばれた少女に向けられた。
その二人を微笑ましく見守るように、男性の低い笑い声がどこからともなく聞こえてくる。
その声の主に対して、姫さまと呼ばれた女性は毒づいた。

「誰のせいだ」