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唯は唯で、水鏡の中で墨のついた筆を空中で上下させて、無駄に式神を生み出す。
「嫌われるようなことをした覚えはないのですが……仮にも、私も生みの親ですし」
「だからではないのか?」
夜鳴は二人が生み出した式神の一人で、本人たっての強い希望のもと、姫の許に留まっている。
「私が形を作り、お前が命を与えた。さらに、対である朝鳴(あさき)を手元においているのが気に食わない」
「それは……理不尽な言いがかりですね。朝鳴は自らこちらに参ったというに」
「それも気に食わない要因であろう」
カラカラと笑いながら、唯の困った顔楽しそうに見つめる。
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