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西埜 要 。14才の中学二年生の男の子。
クラスでも何をやっても平均値の至って目立たない存在。
後一週間で二学期の中間テストと言う憂鬱なある日、部屋で教科書を開いていると母親の陽気な声が聞こえた。
「要~! か~な~めぇ~!」
(五月蝿い…。)
「は~い!」
折角勉強しようとしてたのにしつこく名前を連呼され、ウンザリしながらも母親の所へ行った。
元来素直な性格の要は少々自分勝手な母親でも無視する事が出来ないのだ。
「何か用?」
「要、こちらが今日から要の家庭教師をして下さる、高柳 真人さんよ!
ご挨拶しなさい。」
(は?)
「こんにちは、要君。高柳です。
これから宜しくね。」
高柳と名乗る男が、座っていたソファーから立ち上がり右手を出す。
「…はぁ、宜しくお願いします。」
要はもごもご呟くと同じく右手を出して握手した。
(お母さん、勘弁してよ…)
いきなりの家庭教師の出現に戸惑う。
どういう経緯でこうなったのか…母のみぞ知るだ。
要は、毎度の事ながら振り回される身にもなって欲しいと軽い疲労感に襲われた。
「高柳先生はね、R大の二回生なのよっ!
凄いでしょう!要もしっかりお勉強をみてもらいなさいね!!」
ニコニコとご機嫌な母。
(ふ~ん。頭はいいんだ。見た目変なのに…気の毒だなぁ。)
眼鏡、しわくちゃのチェックのシャツに洗い晒しのストレートのジーンズ。
背も高くて体格もいいのに少し前かがみの姿勢と真っ直ぐに下ろした前髪が暗い印象を与える。
(やだな…。)
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