プロローグ

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  ――あれ?鳴らない。 しかも、何だかガチャガチャと音が鳴っていてうるさい。 とんでもない不安が過ぎり、歯ブラシを動かす手が不意に止まった。 おかしい。何か来る、いったい何を―― 「も~、何で出てくれないんですか?」 何だか扉が開く音がした。 アレ?おかしいな。 鍵閉まってるハズなんだけど。 あれ?あれあれぇ? 「おはよーございま~す」 口の中にある歯磨き粉が、全て白い霧になって吹き飛んだ。 何だか今、僕はにわかには信じられない光景を目の当たりにしているようだ。 「な、ななななな何でいるんだっ!」 鏡越しに見える少女は、晴れ渡るような笑みで少しずつ近付いてくる。 恐ろしさから、体の震えが止まらない。 「あはっ、無理矢理開けてきました!」 僕は急ピッチで口の中を水で洗い、その辺に置いてあるはずの携帯電話を探した。
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