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「むぅ……」
窓一つ無いのに何故か光に満ちた部屋にため息がもれる。
「さて、どうしたものか……」
窓一つ無いのは当たり前である。
なぜならここは……
と、30代と見える男が現れた。
「よう、姫様お目覚めかい?」
姫様と呼ばれたのは金色の髪を腰の辺りまで伸ばした15~7歳の少女である。
「いつまで私をここに閉じ込めておくつもりだ?
そろそろ貴様の顔も見飽きたのだが」
ここは、牢獄だからである。
「へっ。相変わらずの減らず口だな。
だが、それも今日はあまり聞けねぇだろうな」
男は意地悪く笑いながら言った。
「どういう事だ?」
「今日はお前達一族が最も弱る、月蝕の夜だからなぁ」
そう言ってニヤリと笑った。
「くっくっく…貴様、本気で言っているのか?」
しかし、少女は心底楽しそうに尋ねた。
「どういう…」
と、男の質問を遮る様に男の真下で爆発が起きる。
「こういう事だ…
む?死んだか。」
少女の言うとうり男はすでに息絶えていた。
階下からやかましい足音が響いてくる。
今の爆発音で警備員が駆けつけてきたようだ。
「さて、では逃げさせてもらうとしよう」
少女の背にまるで翼のような漆黒のマントが音をたて、広がる。
警備員が音源にたどり着いた時には少女はすでに姿を消していた…
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