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W-1- せつめい
「お父さん」
「ん?どしたー?」
「話しの内容を教えて欲しいのです」
「・・・はぁぁ」
え!?ため息ですか!?
「察してくれ」
「何も分からないので、難しいです」
「・・・怒ってるのか?」
「置き去りにされて、話が見えない事について・・・ですか?」
「すまん。せ、説明します」
「お願いします」
「あー、こいつらは俺の実家で働いてる執事だ」
実家の執事ですかー。だから、あんなに物腰が統一されてるんですねー。
って実家!?確かお父さんの実家はもうないはずじゃ?
「お父さん、天涯孤独じゃなかったのですか?」
「あ。やはり家の事を話してなかったんですね?」
「うるせ」
「どうして・・・?」
「さくらに、実家の奴等の思惑に巻き込まれないようにするためだ」
お父さんの苦痛に満ちた表情を見たのは、始めてかもしれません。
あまり、話したくないのかもしれませんね・・・。
「実家の事は、無理に話さなくても大丈夫ですよ?私を気にかけてくれたんですね。ありがとう、お父さん」
「さくらちゃんっ」
「うきゃっ!?」
「さすが俺と香織の娘っ!!」
ぎゅーっとお父さんの大きい体に包まれてしまいましま。
トクン、トクンと、お父さんの鼓動を聞くと、ホッと落ち着きます。
「な。さくら?これから行く所で理不尽な事を言われると思うんだ。だから、これだけは言っておく。流されるなよ?本音を言えば大丈夫だ」
私を抱きしめながら、諭すように語りかけるお父さん。その横では、優しく私を見つめるお母さん。
本当に、これからどうなってしまうのでしょうか?いま、何処に向かってるのかも私だけ分かりません。
安心は、しましたが。やはり、不安は募る一方です。
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