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「綺麗に咲いて良かったです」
せっかくの入社式ですもの。道路沿いに並ぶ桜を見上げると、口角が上がります。
長い間、雨が続いて散ってしまわないか心配してましたが。入社式に桜がないと寂しいもの。
「あら、さくらちゃん？」
「あ、すみさん」
声がかかって目を向けると、そこには和服姿のすみさんの姿がありました。
「久しぶりね？入社式お疲れ様」
「お久しぶりです。ありがとうございます」
「うふふ。元気そうで安心したわ」
「すみさんも、お変わりないですか？」
「えぇ。相変わらずの病気知らずよ」
「お兄さんもお元気ですか？」
すみさんは、我が家の隣人さんです。そしてお見合いの仲人を生きがいしていて、何組も成功しているんだとか。
そして、私が小さい頃、遊んでくれたお兄さんは、とても爽やかで優しい人なのです。実は、私の初恋。
「えぇ。なんとか、お嫁さん貰ってね。３月の末に結婚したわ」
「…え？えぇっ!?ご結婚されたんですか!?」
全く思いつきませんでした。最近姿が見えなかったので、もしかして具合でも悪いのかしら？っと思っていましたから。
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