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「…魔法使いについて、よく知っているのよね?」
「…今は、ですが。」
「充分よ。本来なら魔法使いは他の魔法使いから魔法を買わない。プライドがそれを許さない。もし、彼女がこの事を知ったら、どうなるかしらね?」
ロゼは意地悪そうにそう言った。
クロウは苦笑しながら、「主の下す決断なら、私は何なりと従います。」と言い、もう一度頭を下げた。
「お願いします。どうか、私の声を…。」
「…カラスは、魔法使いに負けず劣らずプライドの高い種族。死した姿を人間に見せないほどに…。そんなあなたが頭を下げるのだから、余程のことなのね。」
「…はい。」
「でも、声を《買う》わけではない。主に《渡す》。主のプライドをあまり傷つけない方法。あなたは賢い。」
「身に余るお言葉…ありがとうございます。」
「では、少し準備をしてくるわ。ニコラウス、お客様の相手を。」
「うん。」
「《はい》でしょ?」
「あっ…はい!」
今の二人の会話、僕はいまいち理解できずにいた。
「…あまりプライドを傷つけない方法?…って、どういうことなの?」
「少しは頭を使え。猫は器用な生き物のはずだ。少し考えたら分かる。」
「考えても分からないから訊いてるんだよ!」
クロウはため息をついた。
さっきの、オムライスを食べていた時のクロウに戻った。
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