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「魔法使いは《魔法を操る者》だろ。その魔法使いが他の魔法使いから魔法を《買う》というのは、自らがそいつに劣っていることを意味する。」
「プライドが高いんだね。」
「だから《買わない》。魔女様はすごい魔法使いだが、主だってすごい人だ。贔屓目だが、俺は主の方が素晴らしい魔法使いだと思っている。」
胸を張ってそう言うものだから、僕も負けじと「ロゼの方がすごいよ!」と言い返した。
同時に僕は、「そういえば…。」と、手近なテーブルに並べられていた小さな髪飾りをクロウに手渡した。
「…?何だ?」
「クロウの主って女性でしょ?」
「…俺、話したか?」
「ううん。最初は男だと思ってたけど、ロゼが何度か《彼女》って呼んだから。」
「…!…魔女様は…何故そう言ったのだろう…。俺は《主》とか《魔法使い》としか言ってないのに…。」
「クロウ?」
「…お前、とんでもない主に拾われたな。」
「聞こえてるわよ。」
ロゼが奥から戻ってきた。
手にはいろいろな器具が抱えられていた。
「何をするの?」
「薬を作るのよ。ある程度の物は作っているけど、渡すとなると、それを薬に変えなければならない。」
「なるほど。…って、まさか!」
「そのまさかよ。さぁ、使い魔クロウ。商談に入りましょう。」
珍しく、ロゼが微笑んだ。
とても妖艶に…。
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