~大切~

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薬を作る作業における、僕の役割は簡単なこと。 だけど嫌いだ。 何故なら…。 「…ニコラウス。覚悟を決めなさい」 「だ、だって…」 「目をつぶればいいじゃない。すぐに終わるわ」 ロゼの手には、ナイフが一本。 ギラギラ輝いて、それが一層恐怖心を煽り立てる。 「仕方ないでしょ?薬を作るには、《契約者の血液》が必要なのだから」 「じ、自分でやるから!ロゼがやると怖いんだよ!」 血液は少量でいい。 なのに、ロゼは必ずナイフを使う。 指先を少し切るだけでいいのに、何故か手首を狙う。 正直、最近嫌がらせではないかと思っている。 〈…魔女様、お遊びはそこまでにしてくださいよ。〉 声を失ったはずのクロウの声が、直接脳内で響いた。 「遊んでないわ。大真面目よ」 「じゃあ、手首を狙わないでよ!」 「その方が大量に作れるでしょ」 「今回はクロウの分だけでいいじゃん!」 「…それもそうね。」 ナイフを手渡され、やっと僕は安全に指先を切れた。 赤黒い血液を、ロゼ特製の魔法薬に落とす。 すると、今回は薄い黄緑色の薬になった。 「じゃあ、これをあなたの主へ」 「…え?薬は契約者以外が飲むと死ぬんじゃないの?」 「それは人間の場合。使い魔は契約した魔法使いの体の一部となるの。だから、問題はないわ」 〈ありがとうございます〉 出来立ての薬は、瓶の中で怪しく揺らめいた。
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