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午前7時。
「…ねむ…」
誠也は目を擦りながら、洗面所へ向かう、部屋を出る時に向かいの部屋にいる花梨がいないのを見るとおそらく学校へ行ったのだろう。
誠也ももちろん学校がある。
顔を洗うと、制服に着替え、家を出た。
現在7時20分。
学校までの距離約10㎞。
「…」
誠也は携帯の時計で時間を確認すると、スタスタと歩き出した。
手には何も持っておらず、本当に学校に行くのかどうかも怪しい。
しばらく歩いていると、数10m先にビルの建設現場が見えた。
「…なーんかやな予感すんな…」
誠也はボソリと呟くが、そんな予感も気にせず、歩き続ける。
そして、誠也が建設現場を通ろうとした時に、鉄骨を運んでいるクレーンから鉄骨が、ズズっと細かく震動し…。
ヒュッ…
クレーンから鉄骨が落ちた。
真下には誠也一人。
「危ない避けろォッ!」
「んっ?」
クレーンの中から鉄骨を落とした従業員が誠也に向かって叫ぶと、誠也はゆっくりと顔を上げた。
上げたら目の前には急速で落下してくる鉄骨。
「…」
誠也はそれを見ても焦らずに、手を鉄骨に向ける。
あと少しで誠也に鉄骨が直撃するというところで、誠也は手に力を込める。
すると、鉄骨は音も無くピタリと誠也の手の上に乗った。
「…やっぱ当たった、鉄骨とか落ちて来るか普通…」
誠也はぼやきながら、鉄骨をコンクリートの地面に軽々と投げ付けると、鉄骨はざぐっと突き刺さった。
鉄骨を落とした従業員は目を見開き、誠也を見た。
誠也はそれをジロリと睨むと、再びスタスタと歩きだした。
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