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夜中二時の真夜中の日本のとある路地。
「ハッ、ハッ、ハッ、待ちやがれこのクソネコォ!」
「にゃ~♪」
薄茶色の髪をした少女、15、6歳ぐらいだろうか、女性とは思えない怒声を上げながら、白い体に黒いブチが入った猫を追いかけていた。
少女の必死の走りも、猫はあざ笑うかの様に、鳴き声を出しながら身軽に逃げ回っている。
「この、調子にのんじゃないわよ!」
少女がそう言うと、猫を追いかけながら、右手を横に振りかぶった。
すると、横に振りかぶった右手にそって、四つの氷の粒が現れ、猫に向かって飛んで行き、全ての氷が猫に直撃した。
猫はその場に倒れ、傍から見ていたら動物虐待もいいところだが、猫はまるできいていないかの様に、傷一つつかずに、ムクリと立ち上がり、少女の方を向いた。
猫の毛は逆立ち、歯をむき出しにして少女を威嚇している。
「さすがにもうすぐでしょ? そろそろ出なさい……よ!!」
少女は再び、氷の粒を猫に向けて飛ばした。
しかし、猫はそれを横に飛び躱し、着地と同時に少女に向かって飛び、爪を振り下ろした。
その動きは猫とは思えない動きだ。
「ヤバッ!」
少女は隙を突かれ、思わず目を瞑った。
「…なーにやってんだお前は」
不意に、少女の上空から、男の声が聞こえ、その瞬間、ドカンとコンクリートにヒビを入れ、男が上空から現れた。
男は少女を抱き抱え、その場から離れた。
猫の爪は空振り、コンクリートに当たった。
コンクリートは猫の爪により豪快に切り裂かれ、爪痕が残った。
…明らかに普通の猫ではない。
上空から現れた少年は、少女を下ろし、猫の方を向いた。
「あとは俺がやる、お前は休んでろ」
黒い髪で、少女と同じくらいの歳の少年は、猫に向かって構えた。
猫は、爪をたて、少年に向かって、飛んだ。
空中に飛んだ猫を見た少年はニヤリと笑い、足に力を入れ、飛んだ。
猫よりも高く。
空中で身動きがとれない無防備な猫に対して、少年は、かかと落としを猫に放った。
かかと落としは直撃し、猫は空中からコンクリートに向かって、勢い良くたたき付けられた。
「そろそろでるじゃないか?」
「えぇ多分」
少年と少女がそう言うと、猫の口の中から黒い霧の様なものが出て来て、しばらくすると、霧は黒い人の形になった。
「さて片付けるか」
少年はそう言うと、右手を黒い人に向かって突き出し、力を込めた。
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