無視。

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少年の手から、黒い球体の様なものが現れ、少年は黒い球体を、黒い人に向けて高速で放った。 球体が当たると、黒い人は、体をグラグラと揺らし、重さに耐える様に膝と手を地面に付いた。 「…」 少年がしばらくその様子を見ていると、黒い人は耐え切れなくなったのか、地面に倒れ込み、人の形をしていた黒い体が液体の様にドロドロになり、水の様に蒸発して消えた。 倒れていた猫は無傷のまま、何事もなかったかの様に、周りをキョロキョロと見渡し、何処かへ歩いていった。 「終わったな。 おい、かえんぞ花梨(カリン)」 花梨と呼ばれた少女は、少年の声を聞くと、少年に近寄り平行に歩き出した。 「誠也(セイヤ)やっぱ強いね、動きが違うわ」 「お前は動きが大振りなんだよ、だから同じ技の2撃目はかわされんだ」 誠也と呼ばれた少年は、若干キツい感じで花梨に言うがその言葉に刺はない。 花梨も言い慣れている様に、気にしないで歩き続ける。 しばらく歩くと、花梨は急に座り込んだ。 「疲れたー! 誠也! 飛んで行こうよ」 「あと5㎞ちょっとだ、我慢しろ」 「やだー! もう無理、歩けない」 花梨は座り込んだ状態から、地面に寝そべった。 誠也はその行動にため息をつくと、花梨の側に行き手を取り、花梨を立たせた。 「行くぞ」 そう言うと、誠也は足に力を込め、思い切り飛んだ。 周りにあるビルなど軽々とその上を飛び、しばらくすると、地面に降り立った。 周りには、滑り台、鉄棒、ブランコがある。 公園の様だ。 公園の外れには、一軒、古い家がある、昭和の家の様に、外見も木製で、横に動かすとガラガラと音がなりそうな家だ。 誠也はその家の扉に手をかけ、扉を開けた。 予想どおりガラガラと音を鳴らし、扉が開いた。 誠也と花梨は家の中に入る。 外見と同じでボロボロだ。 「俺こっちで寝るは、お前は下に行くんなら勝手にいけよ」 「私もこっちで寝るよ、下に行くのめんどいわ」 誠也と花梨は家の奥に行くと、右と左に部屋があり、両方に布団が敷いてあった。 「おやすみ、俺は寝るからうるさくすんなよ」 「うん、おやすみ」 誠也はあくびをしながら、右の部屋に入り、布団に寝転び、花梨は左の部屋に入り、布団に入った。 誠也は布団に入りながら、頭の近くにある時計に目をやった。 午前3時。 「…あと4時間ちょっとしか寝れねぇな」 誠也はそう言うと、目を瞑り眠りについた。
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