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渚は人差し指を顎に当てて、首を傾げて口を開く。
「んー、特にこれと言った仕事はないわね?」
「えっ?」
「強いて言えば、毎日ちゃんと帰宅することと、早寝早起くらいかしら」
それだけ? それって管理人の最低限にも満たないような……。
「あっ!」
渚は重要なことを思い出した。
夏哉は眉間に皺を寄せて渚を見る。
「電球の交換とかもね! まぁ、仕事はちょくちょくあると思うから、習うより慣れろ、ってことで!」
「はぁ、そうですか」
思ったより楽そうだな。ただここに住んで、雑務だけこなせば良いなら、俺にも出来るか。
あとは寮生達の許可を得るだけだな。……出るのか?
「それより、なっくん」
「はい、何でしょう?」
それよりって、俺にとっては、ここの管理人をすること以上に重大なことはないんだが。
そんな夏哉にはお構いなしに、渚は夏哉との距離を少しずつ縮める。
ゆっくりと、夏哉の頬に手を触れた。
「会議まで……私と何してたい?」
「……そうですね、取り敢えず、この寮の敷地内を歩きたいです。流石に一人だと歩き難いんで。
あと、ここから俺の大学への道のりを教えて下さい」
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