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夏哉は渚の腕を優しく振り払いながら、笑顔で言った。
渚は寂しげな表情を見せたが、すぐに笑って了承した。
「もう、お預けなんて、なっくんのドSー」
「俺はドSじゃありませんし、お預けもしてません」
夏哉達は軽く敷地内を歩いた。たまにすれ違う女の子達はみんな可愛い感じで、いかにもお嬢様、という雰囲気だった。
だが、夏哉には気になることがあった。
「渚叔母さん、寮の女の子って大学生ですよね? さっきから小さな子も見掛けるんですけど……」
「なっくん、知らなかったの? 美華学園の寮は、初等部五年生から入れるのよ?」
相変わらず綺麗な笑顔で言う渚に、夏哉は途方に暮れた。
ちょっと初等部ってマジか。せめて高等部くらいなら話がわかるが……。
取り敢えず関わらないようにするのが良いな。
「……それでこの寮には何名程?」
「うーん、一棟に五十人だから、三百人くらいかしら」
「三百!? ってか六棟全部俺が管理するんですか!?」
「そうよ?」
あたかも当然という様子で言う渚に、夏哉はもう笑えなかった。
なんでこんな状況になっているだ。これじゃまるで漫画の世界ではないか。
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