プロローグ

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閑静な住宅街で、一際目立つ白く綺麗なマンション。何棟からか成るその建物郡は、想像していた闇とはまるで別物だった。 「そうよ? どう?」 夏哉の様子を見て、渚も笑い、自慢するように胸を張る。 「いや、全然綺麗じゃないですか!」 夏哉はキラキラと輝く瞳で、渚に微笑んだ。 「去年改築したばかりだからね! 気に入ってくれたなら嬉しいわ!」 「だって、渚叔母さんが脅かすから」 夏哉の言葉に、一瞬渚は顔を強張らせたが、夏哉は気付かなかった。 「……じゃー部屋に案内するわ」 渚はすぐに笑顔を戻し、夏哉に言う。 夏哉は頷いて、自分の鞄を持つと、渚の後ろについて歩き出した。 いやぁ、本当に良かった。渚叔母さんも人が悪いよなぁ。こんな良いとこじゃないか! あっ! ちゃんと門まであるのか! 夏哉はこんなに綺麗なマンションなのだから、さぞかし立派な名前がつけられているのだろうと思い、声に出して何気なく読んでみた。 「美華学園女子寮」 あぁ、何て麗しい……美華学園女子寮……女子寮!? 「ちょっと渚叔母さん!」 夏哉は血相を変えて渚に詰め寄る。 「どうしたの、なっくん?」
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