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取り敢えず管理人室に案内された夏哉は、渚に事の詳細を尋ねた。
渚は頭を下げながら、丁寧に話した。
「つまり、俺の部屋を探すのを竜波(たつなみ)叔父さんが忘れて、ちょうど管理人を探していたここを、俺に任せよう、と。
俺は住まいが見つかるし、管理人も見つかり、一石二鳥ってわけですね?」
「はい、その通り! 良く出来ました、なっくん!」
「なるほど! ……って納得出来るかー!」
夏哉はちゃぶ台をひっくり返すかのような勢いで言った。
これならまだ幽霊屋敷の方がマシだったな。よりによって、美華学園って……全国的に有名なスーパーお嬢様校じゃないか。
「渚叔母さん、俺、無理です。頑張って部屋探します」
そう言って、夏哉は立ち上がった。
そんな夏哉を見た渚は、一枚の紙を取り出した。
「なっくんには本当は見せたくなかったけど……、仕方ないわね」
「何ですか、それ?」
渚は何も言わない。
夏哉は上げた腰を降ろして、紙を持ち上げた。
……誓約書?
俺がここで管理人をする代わりに、妹の美華学園への入学を援助する?
「……これ、マジですか?」
渚はコクリと頷く。
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