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「助かった…あ、あの少女…助けにいかなきゃ!」
走りだそうとすると、左の足が動かなくて、前のめりに倒れた。
「いてぇ…っ」
何が起こったのかと振り返ると、
「何処に行くんだい…?」
「うわぁぁあああああああっ」
俺の足にはあの巨漢のハムのように大きな手があった。
「逃げるなよ…ハァハァ…っ」
巨漢はニヤニヤと歪な笑みを浮かべて俺の足をはってくる。
「離せ!離せ!」
俺はもう一方の足で何度も男の手を蹴る。だが、巨漢は足を放すどころか、握る力を更に強めた。
「………ぁぁぁあっ!!!!!!」
鈍い音が地下室に響き渡った。
「これでもう逃げられないね…?さぁ…どうやって欲しい…?ハァハァ…っ」
巨漢は目を血走らせ、口からヨダレを垂らしながら俺の足を這いずった。
「ハァハァ…、まずは目を…ハァハァ…っ」
男はナイフを振りかざし、俺の眼球へ一直線におとした。
だが、
「あれ…動かない…ハァハァ…おかしいな…?」
ナイフは俺の眼前で止まっていた。ちょっとでも動こうものなら俺の目に突き刺さってしまうだろう。
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