エピソード:1

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俺は職員室から図書室の鍵をとってきて、扉を開く。   「なんだこれ…」   図書室の中は、悲惨な状態だった。 本棚は倒れ、本は散乱し、何故こんな状況になっているのか俺には見当もつかず、とりあえず彼女がいつも座っていた机のある場所に向かった。すると、そこには半裸の少女に馬乗りになった巨漢がいた。   「な…っ」   巨漢は俺にゆっくりと視線を向けると、胸元から鋭く光るナイフをとりだし、その刃をスッと舐めると少女から離れ、俺にゆっくりと近づいてきた。   「おまえなんなんだよ!」   俺は手近にあった本を男に投げつけたが、男はびくともせず、ゆっくり、フラフラと近づいてきた。   俺は、怖くなって走って逃げた。すると、男もいきなり走りだした。   「くるな!くるな!」   俺は図書室から出て廊下を走った。だが、誰にも会うこともなく、巨漢とのおいかけっこが続く。   「なんで誰もいないんだよ…っ」
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