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俺は階段を下る。すると空気が段々とヒンヤリとしてきて、初夏なのに鳥肌がたった。
背後からは男のハァハァと言う声が聞こえてくる。
俺は逃げなきゃという思いだけで階段をくだり、地下室にきた。もう降りる階段はない。
どうしたものかと迷っていたが、男の呼吸が近づいてくる恐怖に俺は先へ進んだ。
このまま行けば行き止まりなのはわかっていたが、止まるわけにはいかなかった。
俺は、途中にあった棚の中に隠れて息を潜める。
「ハァハァ…ハァハァ…どこだ…っ」
背筋を寒気が走りぬける。
恐怖感からか、勝手に涙が溢れてきた。
「どこだ!」
ドンッ!
俺が隠れた隣のドアが叩かれて、心臓がはねあがった。
「ハァハァ…ハァハァ…」
それからすぐ、男は諦めたのかその荒い呼吸はどんどん離れていった。
俺は暫く様子をみて、気配が消えたことに安心して棚からでた。
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